サマリー
◆ユーロ圏経済は4-6月期に7四半期ぶりの前期比プラス成長となったあと、7-9月期も同+0.1%とかろうじてプラス成長となった。7-9月期は内需中心の回復で、外需は貢献しなかったと推測されるが、牽引役のドイツで輸出向け受注が改善してきており、今後は輸出の持ち直しが期待される。一方、ユーロ圏の雇用情勢はいまだ改善していないが、小売売上高や新車販売が底打ちしつつあり、内需も最悪期脱出と考えられる。
◆ECB(欧州中央銀行)は11月の金融政策理事会で市場が想定していなかった0.25%の利下げを決め、さらに追加の金融緩和の可能性を示唆している。追加策として考えられるのは、長期のLTROなど銀行への流動性供給、あるいは中央銀行預金金利をマイナス金利に引き下げることなどである。追加策が実施されるかの鍵は、ユーロ圏の資金の流れが正常化に向かうか、とりわけ企業向け貸出が回復するかにあるとみられる。
◆英国経済は7-9月期は前期比+0.8%と4-6月期の同+0.7%から加速し、3四半期連続のプラス成長となった。住宅市場の回復を追い風とした内需主導の景気回復は2014年も継続すると見込まれる。成長率予想を2013年は+1.2%から+1.4%に、2014年は+1.6%から+1.9%にそれぞれ上方修正した。BOE(英中銀)はインフレ懸念が高まっていないことを理由に金融緩和政策の継続を表明している。ただ、失業率が想定を上回るペースで低下してきたように、内需の強さによってBOEが緩和政策を正当化することが難しくなる日が意外に早く訪れる可能性がある。
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