サマリー
◆ユーロ圏経済は2013年1-3月期まで6四半期連続で前期比マイナス成長となり、特に最近2四半期は輸出と投資の落ち込みが目立った。ただ、月次統計では2月以降、輸出と生産に持ち直しの動きが出てきている。中国などエマージング諸国の景気回復の足取りは鈍いが、米国経済は堅調で、世界経済も徐々に回復してくると見込まれる。ユーロ圏経済もごく緩やかながら、輸出が牽引役となって2013年半ばから回復局面に入ろう。
◆外需回復が先行し、それに内需の回復が追随するのはユーロ圏の通常の景気回復パターンである。今回もドイツが主導する景気回復となることが見込まれる。ただし、前回の2009年半ばから2011年にかけての景気回復局面は、ユーロ圏の中で国ごとの景気格差が拡大した局面でもあった。その象徴と言える失業率は足元で大きな格差があり、それを縮小させるための対策はなかなか具体化されていない。次の景気回復局面で、改めてユーロ圏内の景気格差が拡大することが懸念される。
◆英国経済は2013年1-3月期にプラス成長に転じたが、個人消費の伸びは小幅にとどまり、期待外れであった。それでも、住宅販売業者の住宅価格と販売の見通しが5月にかけて一段と改善しており、住宅市況の改善が個人消費の持ち直しにつながることが期待される。なお、7月に前カナダ中銀総裁のマーク・カーニー氏が英中銀(BOE)総裁に就任する。同氏は大胆な金融緩和政策が持論だが、5月の消費者物価が前年比+2.7%と加速してきている中で、追加金融緩和は多数派の意見とはならないだろう。
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