サマリー
◆ユーロ圏景気は2012年10-12月期に大きく落ち込んだあと、2013年1、2月は下げ止まりの兆しが見られる。ただし、2月まで改善傾向にあった企業景況感は3月に悪化し、先行きの見通しが晴れたとは言い難い。イタリア総選挙後の政局膠着、キプロス救済問題の混迷というユーロ圏内の攪乱要因に加え、頼みの輸出に関しても景況感を上向かせる材料に乏しい。
◆数少ない朗報は、イタリアやキプロスの問題にもかかわらず、ユーロ圏周縁国の国債利回りが低下傾向にあることである。4月18日のスペインの10年国債入札で、平均落札金利は3年ぶりの低水準となった。世界的な金融緩和を背景にドイツなどの国債利回りが一段と低下しており、より高リターンを求める資金がスペインやイタリアの国債市場に流入していると考えられる。この資金調達コストの低下を、国だけではなく、中小企業にまで浸透させることができるかがユーロ圏の次なる重要な課題である。
◆英国では2012年に就業者増とインフレ低下の効果で実質可処分所得が2年ぶりの高い伸びを回復し、これにつれて個人消費にも持ち直しの動きが見られる。これが個人消費主導の本格的な景気回復へと発展するためには、住宅市場の回復が不可欠と考えられる。英中銀が後押ししている貸出促進策が、住宅ローンの増加につながるか注目される。
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