欧州経済見通し 厳冬から見えた春の兆し

ユーロ圏企業景況感は2か月連続で改善

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2013年01月18日

サマリー

◆ユーロ圏経済は2012年10-12月期に大きく冷え込んだと推測される。中国向けなどの輸出が失速したことを受け、企業が在庫調整のために生産を落としたとみられる。ただ企業景況感は11月に続き、12月も改善した。米国の景気が緩やかながら拡大していることに加え、中国も景気改善へ転換点を迎えたとみられることが、景況感改善を後押ししていると見受けられる。外需を牽引役としたユーロ圏の景気持ち直しが2013年半ばからみえてくると予想する。


◆ECB(欧州中央銀行)は1月の金融政策理事会で金利据え置きを決定。ユーロ圏周縁国の国債利回りが低下傾向にあり、また、銀行の資金繰りにも改善がみられると評価した。ただ、ECBも指摘していることだが、ユーロ圏危機解決は、各国がそれぞれに財政健全化と競争力強化に取り組み、またユーロ圏統合を着実に進展させることが大前提であることに変わりはない。


◆英国経済も2012年10-12月期は内外需が落ち込み、マイナス成長に逆戻りしたと推測される。2013年に景気低迷を脱することができるか、鍵を握るのは個人消費となろう。英国では賃金が伸び悩む一方、消費者物価が高水準で、家計所得を圧迫する傾向が続いてきた。ただ、家計の実質可処分所得は2012年に徐々に伸び率が加速し、自動車販売回復に一役買ったとみられる。BOE(英中銀)が2012年夏に導入した融資促進策の効果と相まって住宅市場が回復に向かえば、個人消費が牽引する景気回復が実現しよう。

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