欧州経済見通し 内外需ともに停滞感

EUの経済政策転換が企業景況感の悪化を止められるかに注目

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2012年07月20日

  • 山崎 加津子

サマリー

◆ユーロ圏企業景況感は6月に一段と悪化した。財政健全化政策を取っていることによる内需減退に加え、ギリシャやスペインの財政懸念が再燃し、さらにその対策の不透明感が解消されていないことが要因とみられる。また、頼みの外需も中国やブラジルの景気減速の継続が確認されるなど、明るい材料に乏しい。

◆6月28、29日のEU首脳会議は、注目された銀行同盟では銀行監督制度の統合を年内に検討するとされたのみで、預金保険制度や銀行破綻処理制度の統合は先送りされ、ユーロ共同債の議論も進展はなかった。他方で、従来の緊縮財政一辺倒の経済政策を修正し、EUレベルで投資促進と雇用創出に主眼をおいた景気対策を講じることで合意した。また、ECBも7月5日に0.25%の利下げを決め、景気対策の援護射撃に動いた。

◆ユーロ圏の経済成長予想は2012年-0.3%、2013年+0.7%で据え置く。ユーロ圏債務問題が制御不能とならない限り、今後の注目点はEUの投資促進策や、ECBの金融緩和策が効果を上げることができるかであり、その先行指標は企業景況感となろう。

◆英国経済はBOEやIMFによる見通しの下方修正が続いている。理由は外需の悪化だが、他方で個人消費に持ち直しの兆しがみられる。住宅市場バブル崩壊後、4年以上にわたって低迷した個人消費が回復してくれば、英国の景気回復の心強い援軍となろう。

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