サマリー
◆ユーロ圏企業景況感は6月に一段と悪化した。財政健全化政策を取っていることによる内需減退に加え、ギリシャやスペインの財政懸念が再燃し、さらにその対策の不透明感が解消されていないことが要因とみられる。また、頼みの外需も中国やブラジルの景気減速の継続が確認されるなど、明るい材料に乏しい。
◆6月28、29日のEU首脳会議は、注目された銀行同盟では銀行監督制度の統合を年内に検討するとされたのみで、預金保険制度や銀行破綻処理制度の統合は先送りされ、ユーロ共同債の議論も進展はなかった。他方で、従来の緊縮財政一辺倒の経済政策を修正し、EUレベルで投資促進と雇用創出に主眼をおいた景気対策を講じることで合意した。また、ECBも7月5日に0.25%の利下げを決め、景気対策の援護射撃に動いた。
◆ユーロ圏の経済成長予想は2012年-0.3%、2013年+0.7%で据え置く。ユーロ圏債務問題が制御不能とならない限り、今後の注目点はEUの投資促進策や、ECBの金融緩和策が効果を上げることができるかであり、その先行指標は企業景況感となろう。
◆英国経済はBOEやIMFによる見通しの下方修正が続いている。理由は外需の悪化だが、他方で個人消費に持ち直しの兆しがみられる。住宅市場バブル崩壊後、4年以上にわたって低迷した個人消費が回復してくれば、英国の景気回復の心強い援軍となろう。
◆6月28、29日のEU首脳会議は、注目された銀行同盟では銀行監督制度の統合を年内に検討するとされたのみで、預金保険制度や銀行破綻処理制度の統合は先送りされ、ユーロ共同債の議論も進展はなかった。他方で、従来の緊縮財政一辺倒の経済政策を修正し、EUレベルで投資促進と雇用創出に主眼をおいた景気対策を講じることで合意した。また、ECBも7月5日に0.25%の利下げを決め、景気対策の援護射撃に動いた。
◆ユーロ圏の経済成長予想は2012年-0.3%、2013年+0.7%で据え置く。ユーロ圏債務問題が制御不能とならない限り、今後の注目点はEUの投資促進策や、ECBの金融緩和策が効果を上げることができるかであり、その先行指標は企業景況感となろう。
◆英国経済はBOEやIMFによる見通しの下方修正が続いている。理由は外需の悪化だが、他方で個人消費に持ち直しの兆しがみられる。住宅市場バブル崩壊後、4年以上にわたって低迷した個人消費が回復してくれば、英国の景気回復の心強い援軍となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 追加関税の影響が顕在化
米国向け輸出が急減、対米通商交渉の行方は依然不透明
2025年06月24日
-
欧州経済見通し 対米通商交渉に一喜一憂
米英合意、米中間の関税引き下げは朗報、EUの交渉は楽観視できず
2025年05月23日
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日