サマリー
◆フランス大統領選挙は4月22日の第1回投票で過半数を得た候補はおらず、社会党のオランド候補と現職のサルコジ候補が5月6日の決選投票に駒を進めた。世論調査はオランド候補優位を伝えている。オランド大統領となれば、17年ぶりに社会党の大統領が誕生する。
◆政権交代の原動力は社会に蓄積された不満と不安といえるだろう。サルコジ政権の5年はその大半が金融危機と財政危機に支配された困難な時期で、その渦中でフランス経済は南部ヨーロッパ諸国に比べてましな状況にある。ただ、ドイツを筆頭に北部ヨーロッパ諸国と比較すると見劣りし、失業率は上昇し、財政収支と経常収支の赤字が拡大した。財政再建はこれからが正念場で、サルコジ大統領が前回選挙で約束した競争力が高く、内需が活発な経済は実現されていない。
◆オランド候補は高額所得者、大企業、銀行に対する課税強化を財源に、中低所得者向けの社会保障制度と雇用対策の充実を約束し、またEUの新財政協定の見直しを要求するとしている。しかしながら、現実には新政権が採用可能な政策余地は大きくない。社会党の中では実務的で調整能力に長けていると評されているオランド候補が、選挙公約と現実との折り合いをどうつけてくるか、かつてのミッテラン大統領のように豹変できるかが注目される。
◆政権交代の原動力は社会に蓄積された不満と不安といえるだろう。サルコジ政権の5年はその大半が金融危機と財政危機に支配された困難な時期で、その渦中でフランス経済は南部ヨーロッパ諸国に比べてましな状況にある。ただ、ドイツを筆頭に北部ヨーロッパ諸国と比較すると見劣りし、失業率は上昇し、財政収支と経常収支の赤字が拡大した。財政再建はこれからが正念場で、サルコジ大統領が前回選挙で約束した競争力が高く、内需が活発な経済は実現されていない。
◆オランド候補は高額所得者、大企業、銀行に対する課税強化を財源に、中低所得者向けの社会保障制度と雇用対策の充実を約束し、またEUの新財政協定の見直しを要求するとしている。しかしながら、現実には新政権が採用可能な政策余地は大きくない。社会党の中では実務的で調整能力に長けていると評されているオランド候補が、選挙公約と現実との折り合いをどうつけてくるか、かつてのミッテラン大統領のように豹変できるかが注目される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 関税議論が一段落
米国による対EUの追加関税率は15%で決着
2025年08月22日
-
4-6月期ユーロ圏GDP かろうじてプラス成長
ドイツ、イタリアがマイナス成長転換も、好調スペインが下支え
2025年07月31日
-
ドイツ経済低迷の背景と、低迷脱却に向けた政策転換
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日