フランス大統領選挙の行方

「サルコジ不信任」に助けられ、オランド候補勝利か

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2012年04月25日

サマリー

◆フランス大統領選挙は4月22日の第1回投票で過半数を得た候補はおらず、社会党のオランド候補と現職のサルコジ候補が5月6日の決選投票に駒を進めた。世論調査はオランド候補優位を伝えている。オランド大統領となれば、17年ぶりに社会党の大統領が誕生する。

◆政権交代の原動力は社会に蓄積された不満と不安といえるだろう。サルコジ政権の5年はその大半が金融危機と財政危機に支配された困難な時期で、その渦中でフランス経済は南部ヨーロッパ諸国に比べてましな状況にある。ただ、ドイツを筆頭に北部ヨーロッパ諸国と比較すると見劣りし、失業率は上昇し、財政収支と経常収支の赤字が拡大した。財政再建はこれからが正念場で、サルコジ大統領が前回選挙で約束した競争力が高く、内需が活発な経済は実現されていない。

◆オランド候補は高額所得者、大企業、銀行に対する課税強化を財源に、中低所得者向けの社会保障制度と雇用対策の充実を約束し、またEUの新財政協定の見直しを要求するとしている。しかしながら、現実には新政権が採用可能な政策余地は大きくない。社会党の中では実務的で調整能力に長けていると評されているオランド候補が、選挙公約と現実との折り合いをどうつけてくるか、かつてのミッテラン大統領のように豹変できるかが注目される。

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