サマリー
◆ユーロ圏経済は2011年10-12月期から2四半期連続で前期比マイナス成長となったと推測され、マイルドなリセッションに陥ったとみられる。年末から改善傾向にあったマインド指数のいくつかは3月に悪化に転じたが、ユーロ圏を牽引しているドイツの景気判断は緩やかながら改善を続けている。欧州外の需要見通しが堅調なことが景気の下支え要因になると予想される。
◆ただ、金融市場の懸念は消えていない。ギリシャ支援第2弾は実行に移されたが、各国の財政再建の実現可能性に対する疑念が強いためである。特にスペイン、イタリアの財政再建が景気悪化で計画よりも遅れることが判明したことで、両国の国債利回りが改めて上昇してしまっている。ユーロ圏各国は財政再建は不可避と表明しているものの、その政策の実効性に関する信頼を市場と国民の双方から獲得することは容易ではない。なお、5月6日にはフランス大統領選挙の決選投票とギリシャの総選挙が行われる。ユーロ圏の財政支援体制と、財政統合を目指す方針を覆す結果にはならないと予想するが、短期的な撹乱要因となる可能性はあるだろう。
◆英国経済も財政再建を優先する政府のもとで景気が停滞している。ユーロ圏に比べ企業景況感が先行きに対して楽観的になりつつあり、就業者数も緩やかに増加傾向にある。ただ、増税効果剥落による消費者物価低下は原油高で一部相殺され、賃金上昇率が低下していることもあって家計の購買力は伸びていない。英国経済の回復は力強さに欠けたものとなり、財政政策による景気てこ入れが期待される状況が続こう。
◆ただ、金融市場の懸念は消えていない。ギリシャ支援第2弾は実行に移されたが、各国の財政再建の実現可能性に対する疑念が強いためである。特にスペイン、イタリアの財政再建が景気悪化で計画よりも遅れることが判明したことで、両国の国債利回りが改めて上昇してしまっている。ユーロ圏各国は財政再建は不可避と表明しているものの、その政策の実効性に関する信頼を市場と国民の双方から獲得することは容易ではない。なお、5月6日にはフランス大統領選挙の決選投票とギリシャの総選挙が行われる。ユーロ圏の財政支援体制と、財政統合を目指す方針を覆す結果にはならないと予想するが、短期的な撹乱要因となる可能性はあるだろう。
◆英国経済も財政再建を優先する政府のもとで景気が停滞している。ユーロ圏に比べ企業景況感が先行きに対して楽観的になりつつあり、就業者数も緩やかに増加傾向にある。ただ、増税効果剥落による消費者物価低下は原油高で一部相殺され、賃金上昇率が低下していることもあって家計の購買力は伸びていない。英国経済の回復は力強さに欠けたものとなり、財政政策による景気てこ入れが期待される状況が続こう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
4-6月期ユーロ圏GDP かろうじてプラス成長
ドイツ、イタリアがマイナス成長転換も、好調スペインが下支え
2025年07月31日
-
ドイツ経済低迷の背景と、低迷脱却に向けた政策転換
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
欧州経済見通し 輸出環境が一段と悪化
米国の追加関税率は30%に引き上げへ、ユーロ高も輸出の重荷に
2025年07月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日