サマリー
◆スイス国立銀行が徹底介入を通じてスイスフランの上昇を阻止すると発表し、一方、ブラジルは唐突な利下げを実施するなど、世界的な景況感の悪化、グローバル金融市場の動揺の余波ともいえる政策決定が見られ始めている。これを通貨戦争の再開と懸念する向きもあるが、通貨戦争には良い通貨戦争、悪い通貨戦争の二つがある。スイス、ブラジルともに実態は金融緩和であり、これらを嚆矢として競争的な金融緩和が広がりを見せれば、世界経済停滞の脱却の糸口ともなり得る。
◆2010年の第一次通貨戦争は、新興国が景気拡大、インフレ圧力増進というマクロ環境に置かれ、金融緩和の余地がない中で生じたものである。その結果、資本移動規制、貿易障壁の引き上げなど、悪い通貨戦争の手段が散発的に採用された。新興国が景気減速過程に入っている現在、金融緩和に転じることのデメリットは減少している。良い通貨戦争が繰り広げられる可能性は高まっていると考えられよう。
◆2010年の第一次通貨戦争は、新興国が景気拡大、インフレ圧力増進というマクロ環境に置かれ、金融緩和の余地がない中で生じたものである。その結果、資本移動規制、貿易障壁の引き上げなど、悪い通貨戦争の手段が散発的に採用された。新興国が景気減速過程に入っている現在、金融緩和に転じることのデメリットは減少している。良い通貨戦争が繰り広げられる可能性は高まっていると考えられよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
4-6月期ユーロ圏GDP かろうじてプラス成長
ドイツ、イタリアがマイナス成長転換も、好調スペインが下支え
2025年07月31日
-
ドイツ経済低迷の背景と、低迷脱却に向けた政策転換
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
欧州経済見通し 輸出環境が一段と悪化
米国の追加関税率は30%に引き上げへ、ユーロ高も輸出の重荷に
2025年07月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日