スイスとブラジルが世界を救う?

良い通貨戦争、悪い通貨戦争

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2011年09月22日

  • 児玉 卓

サマリー

◆スイス国立銀行が徹底介入を通じてスイスフランの上昇を阻止すると発表し、一方、ブラジルは唐突な利下げを実施するなど、世界的な景況感の悪化、グローバル金融市場の動揺の余波ともいえる政策決定が見られ始めている。これを通貨戦争の再開と懸念する向きもあるが、通貨戦争には良い通貨戦争、悪い通貨戦争の二つがある。スイス、ブラジルともに実態は金融緩和であり、これらを嚆矢として競争的な金融緩和が広がりを見せれば、世界経済停滞の脱却の糸口ともなり得る。

◆2010年の第一次通貨戦争は、新興国が景気拡大、インフレ圧力増進というマクロ環境に置かれ、金融緩和の余地がない中で生じたものである。その結果、資本移動規制、貿易障壁の引き上げなど、悪い通貨戦争の手段が散発的に採用された。新興国が景気減速過程に入っている現在、金融緩和に転じることのデメリットは減少している。良い通貨戦争が繰り広げられる可能性は高まっていると考えられよう。

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