ユーロ圏の危機対策の評価

ECB の介入は成功するか

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2011年08月16日

  • 児玉 卓

サマリー

◆7月21日のユーロ圏による周辺国対策は、アイルランド等被救済国の国債利回りを低下させたが、イタリア、スペインにかかわる市場の不安の沈静化には失敗した。そのツケが回った格好で8月8日に開始されたECB の市場介入が、今のところ両国国債の利回り抑制に成功しているが、これは時限措置であり、より整備されたセーフティネットへの移行がスムーズに行くかが今後の焦点になる。

◆構成国の政治的・社会的状況から、予見される将来のユーロ圏財政統合はあり得ないといってよいが、財政資金ファイナンスという「部分」について各国が統合体に主権を委譲すること、つまりユーロ圏共通債の発行が、比較的息の長い時間稼ぎとしては有効であろう。ただし、その実現にはもう一段厳しい危機を経ることが必要であるかもしれない。

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