サマリー
◆ミャンマー経済は、2011年の軍事政権による民政移管後、海外から多くの投資を呼び込み、概ね順調な拡大を続けていたが、2016年3月のNLD(国民民主連盟)政権成立後、成長の流れに変化が出始め、その後、2020年の新型コロナ感染拡大、そして、2021年2月1日発生した国軍の軍事クーデターによる混乱で、大幅なマイナス成長を余儀なくされている。
◆ASEAN(東南アジア諸国連合)の中で、経済発展が遅れた国に分類される、カンボジア、ラオス、ミャンマーの実質GDP成長率の動きを比較すると、2021年、カンボジアとラオスは、経済回復の流れとなってきている一方で、ミャンマーは、引き続き、大幅なマイナス成長である。
◆経済発展段階の一つの目安とされる一人当たりGDP(購買力平価、ドルベース)の値は、ミャンマーはASEANで最下位である。また、かつてアジア最貧国と言われた南アジアのバングラデシュに、2017年に抜かれている。
◆軍事クーデターにより、海外投資家の目が厳しくなり、工業化の流れはスローダウンしてきている。また、企業活動の混乱による輸出減少や供給ショックによるインフレなどで、ミャンマー通貨チャットは大幅安となっている。
◆国軍は、2023年8月、複数政党による総選挙を実施すると表明。民主派勢力への監視・弾圧が続く中、総選挙では、国軍系の政党が有利となる可能性が高く、結果、政治への国軍の影響力は残ることになるだろう。
◆人権問題などを理由にミャンマーへの関与に消極的な欧米、ASEANでの存在感を高めたいが様子見的な感じが否めない日本、一方で、緊密さを強める中国の状況からすると、今後ミャンマーは、カンボジア、ラオスほど極端ではないにしても、経済面で中国の影響力の強い国になってしまう可能性は捨てきれない。
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