サマリー
◆海外からの投資ブームが一段落しているミャンマーに対して、海外からの投資増加が続きチャイナ・プラスワンの受け入れ国としてのステータスを確立したかにみえるベトナム。両国の明暗を分けているのは、工業化の進展度合いの違いである。ミャンマーは、工業化への取り組みが足踏み状態にある一方で、ベトナムは、工業化戦略が功を奏している。
◆ベトナムの工業化では、海外からの投資を呼び込むべく、産業育成における重点分野を選定して、制度の透明性、手続きの迅速性、免税・減税措置などを実施。ハノイやホーチミン周辺部を中心に造成した工業団地を、内外で外国投資家向けにアピールを続けている。一方でミャンマーは、資金不足や土地収用などの問題から、工業団地の有効活用ができていない。
◆ミャンマーとベトナムの工業化進展度合いの違いは、輸出品の商品構成にも明確に表れている。ミャンマーは、アパレルの割合が極めて高い一方で、ベトナムは、アパレルの割合がやや減少し、電気機械・音響機器などの製品の割合が高まってきている。
◆ミャンマーが、ベトナムの工業化プロセスから学ぶことは多い。特に、工業団地を有効活用した外国企業の誘致及び、それによる国内企業育成政策である。ミャンマーは、誘致すべき業種のターゲットを決めて、工業団地の整備及び創設、そして、投資家への宣伝活動に、もっと力を入れるべきである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
なぜベトナムは「不平等協定」を結ぶのか
米国・ベトナムの「ディール」を解明する
2025年08月14日
-
米国抜きの連携拡大~CPTPPのEU拡大が意味すること
「反米色」を排除しながら自由貿易の枠組みを強化、アジアに恩恵も
2025年07月23日
-
インド経済は堅調か?2025年度Q2以降の見通し
個人消費とインフラ投資がけん引役。利下げが都市部の消費を刺激へ
2025年07月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日