何故、ミャンマーじゃないの

ミャンマーとベトナム、明暗分かれる

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2021年01月19日

  • 佐藤 清一郎

サマリー

◆海外からの投資ブームが一段落しているミャンマーに対して、海外からの投資増加が続きチャイナ・プラスワンの受け入れ国としてのステータスを確立したかにみえるベトナム。両国の明暗を分けているのは、工業化の進展度合いの違いである。ミャンマーは、工業化への取り組みが足踏み状態にある一方で、ベトナムは、工業化戦略が功を奏している。

◆ベトナムの工業化では、海外からの投資を呼び込むべく、産業育成における重点分野を選定して、制度の透明性、手続きの迅速性、免税・減税措置などを実施。ハノイやホーチミン周辺部を中心に造成した工業団地を、内外で外国投資家向けにアピールを続けている。一方でミャンマーは、資金不足や土地収用などの問題から、工業団地の有効活用ができていない。

◆ミャンマーとベトナムの工業化進展度合いの違いは、輸出品の商品構成にも明確に表れている。ミャンマーは、アパレルの割合が極めて高い一方で、ベトナムは、アパレルの割合がやや減少し、電気機械・音響機器などの製品の割合が高まってきている。

◆ミャンマーが、ベトナムの工業化プロセスから学ぶことは多い。特に、工業団地を有効活用した外国企業の誘致及び、それによる国内企業育成政策である。ミャンマーは、誘致すべき業種のターゲットを決めて、工業団地の整備及び創設、そして、投資家への宣伝活動に、もっと力を入れるべきである。

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