サマリー
◆ミャンマーは、2011年の軍事政権の民政移管以降、それまでの閉鎖政策から対外開放政策へと転換したことで、産業構造には変化が起きている。産業別付加価値割合を見ると、鉱業、製造業、運輸・通信などの割合が高まっている一方で、農業は割合を低下させている。
◆産業構造変化に伴って、貿易構造、特に、輸出構造に変化が見られる。中国向けに天然ガス、日本や欧州向けに縫製品輸出を増加させ、アセアン域外輸出比率を高めている一方で、アセアン域内輸出比率は、急激に低下してきている。
◆アセアン域内輸出比率が大きく低下する一方で、アセアン域内輸入比率は、2011年以降も、それ程大きな変化はない。精製油(主にガソリンなど)を中心としたシンガポールからの輸入、日用品を中心としたタイやマレーシアからの輸入が継続しているためと思われる。
◆ミャンマーは、今後、電子部品、自動車部品などの分野での輸出を模索しており、この取り組みが定着してくれば、アセアン域外輸出比率は、更に上昇していく可能性が高い。アセアン域外輸入比率に関しては、原材料、機械設備の輸入増加で上昇圧力が続いていくであろう。
◆こうした動きの中で、ミャンマーの貿易構造は、当面は、アセアン域外との関係を更に深める方向となるであろう。国別では、急速に取引額を増加させている中国との貿易深化が、どの程度進展していくかが注目される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
なぜベトナムは「不平等協定」を結ぶのか
米国・ベトナムの「ディール」を解明する
2025年08月14日
-
米国抜きの連携拡大~CPTPPのEU拡大が意味すること
「反米色」を排除しながら自由貿易の枠組みを強化、アジアに恩恵も
2025年07月23日
-
インド経済は堅調か?2025年度Q2以降の見通し
個人消費とインフラ投資がけん引役。利下げが都市部の消費を刺激へ
2025年07月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日