新興国にとっての最悪期はこれから来る?

新興国経済ニュースレター(2020年9月)

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2020年09月04日

  • 児玉 卓

サマリー

◆4-6月期のGDP統計は壊滅的数値のオンパレードだったが、月次統計では既にほとんどの新興国の景気が少なくともいったんボトムアウトしたことが示されている。それは感染拡大がピークアウトしたからではなく、ロックダウン的措置のコストの甚大さに直面した各国政府がウィズコロナを選択したからである。

◆結果として感染拡大、再拡大のリスクから我々が解放される時期は相当先になる可能性が高まっている。感染防止策やソーシャルディスタンスの確保と両立しにくいビジネスの苦境も続く。連れて財政政策の持続可能性が問われる局面も増えてこよう。マクロの景気が回復を継続する蓋然性は高いが、だから万々歳とはいかない。

◆加えて新興国に関しては、グローバル金融市場の安定に助けられて今の回復があることを忘れるべきではない。さしあたっての景気の改善にもかかわらず、新興国にとって最悪期は過ぎたとは必ずしも言えないということだ。

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