サマリー
◆ミャンマー経済は、財閥を抜きにして語ることはできない。その多くが1990年代に創設され歴史はそれほど古くないが、様々な分野でビジネス展開しており、ミャンマー経済に多大な影響力を持っている。
◆財閥は、国防省傘下で創設されたものと民間部門で創設されたものの大きく2種類に分けられる。国防省傘下で創設されたものは、Union of Myanmar Economic Holdings(UMEHL)とMyanmar Economic Corporation(MEC)である。民間部門で創設されたものは、Htoo Group、Kanbawza Group、Shwe Taung Group、Max Myanmar Group、Asia World Group、IGE Group、SPA Group、Capital Diamond Star Group等が主なものである。
◆グループ内に銀行を抱えている財閥も多い。国防省傘下の2財閥が、各々、系列銀行を持っている他、民間財閥でも、Htoo Group、Kanbawza Group、Max Myanmar Group、Eden Group、SPA Group等は、系列銀行を持っている。ミャンマーでは、財務諸表を作成していない企業や情報公開に消極的な企業が多く、銀行借入れが難しいケースがあるため、グループ内に銀行を抱えることは、自然の流れともいえる。
◆財閥の経済への貢献は評価できるものの、ミャンマー経済の更なる活性化には、財閥以外の新たな企業がどのくらい参入し、より競争的な市場構造が生まれるかが、大きなポイントになる。財閥と新興企業が一緒になって、ミャンマー経済を盛り上げていく日が来ることを期待したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
尹大統領の罷免決定、不動産問題が選挙のカギに
賃借人保護の不動産政策を支持する「共に民主党」の李在明氏が、大統領選挙で一歩リードか
2025年04月24日
-
トランプ関税のアジア新興国への影響と耐性は?
製品によって異なる影響。対外的な耐性は十分もインドネシアに注意
2025年04月16日
-
トランプ2.0、資源面でアジアに恩恵も
米国産LNGがエネルギー移行を促進・重要鉱物の代替供給地になるか
2025年03月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日