コロナ・ショックで新興国は瀬戸際か

新興国経済ニュースレター(2020年3月)

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2020年03月05日

  • 児玉 卓

サマリー

◆新型コロナウイルスによる新型肺炎感染拡散を巡り、世界は危機警戒モード一色に染まりつつある。新規感染の主舞台は中国国外に移行し、その地理的拡散がもたらす収束への道筋の不透明感が経済の重しにもなっている。

◆一方、中国国内の新規感染者の減少はもっと注目されてよい。中国はいったん新型肺炎の封じ込めに失敗したのだが、その拡散の期間はさほど長期化せずに済んだ。この「湖北省→中国全土」の拡散と収束の経験が、「中国→世界」の今後に一定のヒントを与えること、それを無視してひたすら悲観に終始することが適切でないこともまた確かであろう。

◆収束への時間軸がいかほどかは、特に新興国には重要なポイントである。このところリスク回避が新興国通貨の下落をもたらしており、同じ世界経済の減速過程であっても昨年末までとは局面を異にしつつある。危機警戒モードが長期化すれば、新興国は現在の緩和姿勢を撤回せざるを得なくなるだけではなく、個々の国が危機への耐性を問われる事態に発展する可能性もある。

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