中国からASEAN5への生産代替は進むのか?

米中摩擦問題が長期化する中、変貌する貿易構造

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2019年11月18日

  • 古橋 櫻子

サマリー

◆米中摩擦の影響で両国間の貿易が低迷している中、ASEAN5(インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム)の貿易構造に変化が生じている。この背景には、対中制裁関税を回避するため、ASEAN5が新たな生産拠点として有力視されている点がある。しかし、生産代替が活発に進んでいるのは主に労働集約型製品であり、電子・電気機器などの製品の進展度合いは小さい。

◆素材の加工や部品の生産を担う関連企業の生産立地の移転・集積、産業人材の育成には時間を要するため、電子・電気機器などについては当面、中国が米国への主な輸出国であり続けるだろう。ただし、ASEAN5各国は投資を取り込むべく、税制優遇や製造業の生産効率化に向けた政策を計画・実施している。これらの取り組みが奏功し、中国からASEAN5への生産代替につながる効果が中長期的に表れるか、注目される。

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