サマリー
◆昨年3月、国民の多大な期待を受け成立した国民民主連盟(NLD)政権。過去1年の成果を振り返ると、やはり一番衝撃的だったのは、昨年10月の米国の経済制裁全面解除である。この措置により、ミャンマーへのビジネス自由度は各段に高まり、外国人のミャンマーに対する見方も大幅に変わった。
◆こうした一方で、これ以外で成果を探そうとするとかなり難しい。軍との関係では、2008年の軍人優位の憲法の下、国軍は依然として国政に強い影響力を維持している。少数民族問題では、「21世紀ピンロン連邦和平会議」開催など解決に向けた仕組み作りは行われているものの、和平に向け目立った進展は見られない。経済政策や投資政策に関しては、大まかな内容は公表されているが、その具体的な実施方法がいまだ不明確である。
◆過去1年を振り返り、あまり成果がでていないNLD政権だが、ミャンマー国民のNLD政権への不満の声はあまり聞かれない。自らの力で勝ち取った民主主義に大きな満足を覚えていること、改革は時間を要すると思っていること、忍耐強い国民性などが主な理由と考えられるが、今後、やはり、経済的豊かさも伴うような政策が実行されなければ、国民は不満を持つようになってくるかもしれない。
◆ミャンマー政府は、民主主義が自動的に経済成長を保障するものではないことを再認識するべきである。経済政策の失敗による景気減速や所得格差拡大は、国民の不満を招き、政権基盤を危うくする可能性もあるため、今後は、適切な経済・産業政策の具現化に向けて注力していくべきである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ブラジル:右派政権発足の場合、何が変わるのか
市場志向を強めつつ、社会的包摂を維持するフラビオ氏、外交は実利重視か
2026年10月08日
-
ドル高・米金利上昇への転換で問われる新興国通貨の耐性
耐性は、メキシコ、マレーシア、ブラジルで比較的高い
2026年10月05日
-
ASEAN5、消費格差の原因は?
外需と雇用・所得、金融環境、財政支援と家計バランスシート
2026年08月31日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

