サマリー
◆海外からミャンマーへの直接投資額は、2011年の民主化以降、おおむね増加傾向を辿っている。投資国および投資分野は偏っており、国・地域としては中国、分野としては、石油・ガスおよび電力の割合が大きい。
◆直近の動き(2016年4月から12月までの海外直接投資認可状況)は、これまでの流れとは、様子が違っており、石油・ガスの投資は1件もなくなり、その代わりに運輸・通信と製造業への投資が増加している。国・地域では、シンガポール経由が圧倒的に大きく、全体の約75%を占めている。
◆日本からの投資は、2012年4月、日本政府がミャンマー支援方針を打ち出してから、毎年増加してきている。投資分野は、約6割が製造業である。特に日本がミャンマー政府と共同で開発しているティラワ工業団地への企業進出ニーズは高く、契約企業全体の半分は日系企業となっている。
◆今後、エネルギーインフラ、物流システム、透明性ある法制度整備、人材育成など、経済活動に不可欠なハードおよびソフト面の基礎的インフラ整備が進んでいけば、資本蓄積に重要な役割を果たす電子機器、輸送機器関係の企業進出も期待できるであろう。
◆ミャンマーが資本蓄積を進めるにあたって、技術力が高く高品質な製品を有する日本企業への期待はかなり高い。ティラワ工業団地での成功体験をバネに、今後更に日本企業がミャンマー進出を加速させ、ミャンマー経済が発展すると同時にミャンマーでの日本の存在感が高まっていくことを期待したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
尹大統領の罷免決定、不動産問題が選挙のカギに
賃借人保護の不動産政策を支持する「共に民主党」の李在明氏が、大統領選挙で一歩リードか
2025年04月24日
-
トランプ関税のアジア新興国への影響と耐性は?
製品によって異なる影響。対外的な耐性は十分もインドネシアに注意
2025年04月16日
-
トランプ2.0、資源面でアジアに恩恵も
米国産LNGがエネルギー移行を促進・重要鉱物の代替供給地になるか
2025年03月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日