サマリー
◆6月7日に実施されたトルコの国会総選挙は、与党AKPが過半数割れとなる一方、クルド系政党のHDPが議席を獲得する見通しとなった。エルドアン大統領とAKPは実権型大統領制への移行を目指し選挙戦を戦ってきたが、過去AKPへの支持率の裏付けとなっていた経済成長に陰りが見えるなかで、高い失業率への不満等がAKPの票離れにつながったとみられる。
◆実権型大統領制への憲法改正が困難となる見通しとなったことで、今後はエルドアン大統領の影響力低下は避けられないとみられる。さらに、ダウトオール首相の進退が問題となり、トルコ政治の先行きは不透明感が増すことになろう。また、AKPが過半数割れとなったことで少数与党となることから、政策実施が困難となるため、早期に再総選挙を実施する可能性も現地報道では伝えられている。
◆通貨トルコ・リラは選挙結果を受け、過去最安値を更新している。今後もリラは不安定な動きとなることが予想される他、政治の不透明感が高まることにより海外投資が減少し、景気回復をさらに遅らせる可能性も否定できない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
なぜベトナムは「不平等協定」を結ぶのか
米国・ベトナムの「ディール」を解明する
2025年08月14日
-
米国抜きの連携拡大~CPTPPのEU拡大が意味すること
「反米色」を排除しながら自由貿易の枠組みを強化、アジアに恩恵も
2025年07月23日
-
インド経済は堅調か?2025年度Q2以降の見通し
個人消費とインフラ投資がけん引役。利下げが都市部の消費を刺激へ
2025年07月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日