サマリー
◆6月7日に実施されたトルコの国会総選挙は、与党AKPが過半数割れとなる一方、クルド系政党のHDPが議席を獲得する見通しとなった。エルドアン大統領とAKPは実権型大統領制への移行を目指し選挙戦を戦ってきたが、過去AKPへの支持率の裏付けとなっていた経済成長に陰りが見えるなかで、高い失業率への不満等がAKPの票離れにつながったとみられる。
◆実権型大統領制への憲法改正が困難となる見通しとなったことで、今後はエルドアン大統領の影響力低下は避けられないとみられる。さらに、ダウトオール首相の進退が問題となり、トルコ政治の先行きは不透明感が増すことになろう。また、AKPが過半数割れとなったことで少数与党となることから、政策実施が困難となるため、早期に再総選挙を実施する可能性も現地報道では伝えられている。
◆通貨トルコ・リラは選挙結果を受け、過去最安値を更新している。今後もリラは不安定な動きとなることが予想される他、政治の不透明感が高まることにより海外投資が減少し、景気回復をさらに遅らせる可能性も否定できない。
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