サマリー
◆ベトナム経済の大きな問題の一つは貿易収支赤字が続いていることである。対外面での収支悪化は、消費者物価上昇、株価下落、為替減価といった形で経済に悪い影響を与えている。
◆貿易赤字体質の背景には、安定して外貨を稼げるような輸出品が存在しないことがある。ベトナムの貿易構造を見ると輸出品のほとんどは衣料品等の軽工業品である。軽工業品は人件費の高低に依存する割合が高い。現在、ベトナムより人件費の安いミャンマーやバングラデシュ等でも軽工業品生産が盛んになっており、この点からすると、軽工業品はベトナムが必ずしも比較優位を保てる商品とも言えない。
◆貿易黒字体質へと転換していくためには、主力の輸出品を軽工業品からより付加価値の高い電子部品や輸送機器などに転換させていくことが求められる。そのためには裾野産業を育成してより強固な産業基盤を築いていく必要がある。
◆裾野産業育成は、自国のみでは限界があるため、海外からの直接投資を積極的に活用してノウハウを蓄積していくことがより効率的な方法となることは言うまでもない。ベトナムとしては、引き続き、海外からの投資が行われやすい環境を整備していくことが求められる。
◆貿易赤字体質の背景には、安定して外貨を稼げるような輸出品が存在しないことがある。ベトナムの貿易構造を見ると輸出品のほとんどは衣料品等の軽工業品である。軽工業品は人件費の高低に依存する割合が高い。現在、ベトナムより人件費の安いミャンマーやバングラデシュ等でも軽工業品生産が盛んになっており、この点からすると、軽工業品はベトナムが必ずしも比較優位を保てる商品とも言えない。
◆貿易黒字体質へと転換していくためには、主力の輸出品を軽工業品からより付加価値の高い電子部品や輸送機器などに転換させていくことが求められる。そのためには裾野産業を育成してより強固な産業基盤を築いていく必要がある。
◆裾野産業育成は、自国のみでは限界があるため、海外からの直接投資を積極的に活用してノウハウを蓄積していくことがより効率的な方法となることは言うまでもない。ベトナムとしては、引き続き、海外からの投資が行われやすい環境を整備していくことが求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
なぜベトナムは「不平等協定」を結ぶのか
米国・ベトナムの「ディール」を解明する
2025年08月14日
-
米国抜きの連携拡大~CPTPPのEU拡大が意味すること
「反米色」を排除しながら自由貿易の枠組みを強化、アジアに恩恵も
2025年07月23日
-
インド経済は堅調か?2025年度Q2以降の見通し
個人消費とインフラ投資がけん引役。利下げが都市部の消費を刺激へ
2025年07月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日