サマリー
◆課題克服に向けたマレーシアの最大の問題は設備投資の割合が低いことである。設備投資は技術革新を具現化する重要なツールであり、また、ダイナミックな成長を達成するためにも大事なものである。マレーシアは、アジア通貨危機以前は比較的高い投資割合を維持していたが、アジア通貨危機以降は急激に割合が低下した。その後も回復の動きが見られない。
◆2009年に誕生したナジブ内閣は、それまでの政策を転換して経済開放を積極化させている。足元でも規制緩和などを実施している他、中長期的計画の中では12の重要分野を設定して中所得国からの脱出を図ろうとしている。マハティール政権時代にとられた現地民優先政策(ブミプトラ政策)が、経済の閉鎖性を生み成長を遅らせた面も大きいため、現在の開放政策は更なる発展にはプラス材料である。
◆ナジブ政権が実施している政策を見ると、マレーシアの見方を以前とは変えないといけないかもしれない。インドネシアに見られるように、開放政策は、生産性向上や競争力強化を通じて良い結果をもたらしており、マレーシアにもそれが期待できるのである。今後のポイントは、(1)アジア通貨危機後に急激に低下してしまった投資割合を、どの程度回復できるか、(2)生産性向上の大きな担い手となる技術力ある中小企業をどの程度育成できるか、(3)技術革新の基本となるR&D 投資やICT 技術導入をきちんとできるか等である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
インド2026年度予算案:インフラ投資に軸足を移す
戦略的自律性を意識した攻めの姿勢を評価。債務管理を注視
2026年02月05日
-
2026年のASEAN5経済見通し
外需が原因で前年から減速も、ポリシーミックスが奏功し底堅いか
2026年01月16日
-
インド:所得減税・GST改正の効果は?
GST税率引き下げは耐久財消費を喚起。企業投資につながるか注視
2025年11月14日
最新のレポート・コラム
-
主要国経済Outlook 2026年4月号(No.473)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2026年03月25日
-
中東情勢緊迫化と軍事費増加は世界経済の重石に
2026年03月25日
-
大和のセキュリティトークンナビ 第4回 社債セキュリティトークンとは?(前半)
社債投資の仕組み、社債セキュリティトークンの特性
2026年03月25日
-
コングロマリット・ディスカウントの再考察
~日本企業の定量分析から読み解く、人的資本経営と企業価値の新関係~
2026年03月25日
-
米国:原油高でも「Drill, Baby, Drill」ではなく「Drill, Maybe, Drill」?
2026年03月25日
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
-
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
-
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日

