ASEAN NOW (Vol.7)

欧州ソブリンショックの中、相対的優位性高まるアセアン

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2011年12月08日

  • 佐藤 清一郎

サマリー

◆欧州のソブリンリスク問題、米国の財政政策自由度低下、日本は言わずもがな等、先進国は、財政問題で苦しんでいる。先進国の潜在成長率は、毎年低下方向を辿っており、財政問題が早期に解決へと向かう展望は、なかなか描けない。

◆一方で、アセアンを見ると、平均して5%程度の安定した成長を享受している。景気対策等で拡大した財政赤字は経済成長とともに縮小するだろう。対GDPに占める公的債務残高の割合は、先進国と比較して、かなり小さく、財政政策自由度低下への懸念は、相対的に少ないと言えよう。

◆経済成長の質を見ると、基本的に、輸出主導による成長で、貿易収支が黒字となっている。また、為替管理の結果、外貨準備高も積みあがる方向が続いており、外的ショックへの抵抗力を強めている。

◆人口年齢(中央値)を見ても、日本が45歳、中国が35歳となっている一方で、インドネシア、ベトナムは28歳、フィリピンにいたっては22歳と極めて若い。この意味するところは、国家の社会保障負担が小さく、財政資金を経済成長に傾斜することができるということである。

◆先進国が景気回復に苦しむ中、成長性に対する注目で、今後、アセアンへの関心は、更に高まっていくと予想される。

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