新興国マンスリー(2011年12月)新興国のソフトランディングVSユーロ圏危機

~新興国のアップサイドリスク < 先進国のダウンサイドリスク~

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2011年12月05日

  • 児玉 卓

サマリー

◆11月末の主要中央銀行によるドル流動性拡充策などを手がかりに、市場は小康を得ているが、流動性危機は銀行の資産劣化危機、政府の信認危機の結果に過ぎない。さしあたっては12月9日のEU首脳会議が焦点であるが、ユーロ圏発の景況感悪化などが新興国売りを再燃させるリスクは減じられていない。それはブラジルに始まる金融緩和の連鎖にストップをかけ、新興国全体の景気回復を阻害する要因ともなる。また、仮に新興国がソフトランディングに成功するにせよ、欧州危機の現状から鑑みて、世界は「多少のアップサイドリスクと甚大なダウンサイドリスク」に直面していると判断せざるを得ない。新興国にとっての好材料は、リーマン・ショックが世界的な経済危機における新興国の耐久力の強さを示したという経験則にあろう。

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