サマリー
◆ベトナムの今回の貿易赤字の発端は、2007年1月のWTO 加盟前後にある可能性が高い。2007年を境に、ベトナムの貿易収支赤字は、急拡大への道を辿り、結局、現在まで貿易赤字基調が続いているからである。
◆貿易赤字体質となっている最大の原因は、ベトナムの産業構造にある。ベトナムの主要な輸出品は、依然として、衣料品等の軽工業品中心で、電子部品や輸送機器の割合は小さい。軽工業品は後発国との価格競争が激しいため、安定した外貨獲得源としては難しい面も多い。現状打開には、製造業の構造を軽工業品から電子部品や輸送機器等が生産できる体制への転換が必要となる。
◆ベトナム政府は、ハイテク分野等に成長の活路を求めているが、その前に、電子機器や輸送機器などに関する企業の裾野を広げ、それに適した人材を育成して、海外企業の現地調達比率を上げることが必要であろう。そうすれば、産業基盤の厚みが増し、更なる経済発展の基礎が構築され持続的成長軌道への復帰の道が開けてくるであろう。
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