サマリー
◆アセアンにおける域内統合の考え方は、欧州ほど包括的ではないが、単なる経済統合にとどまらず、安全保障、社会・文化の面を考慮している。
◆アセアンの国際化は1980年代後半から本格化した。背景には、プラザ合意による円高進行で採算が悪化しコスト削減に迫られた日本企業と輸出不振からの脱却を目指すアセアン企業との利害の合致がある。
◆国際化に欠かせないツールが貿易自由化である。戦後、貿易自由化交渉は多角的なものを基本としたが、交渉難航のため、2000年以降は2国間による交渉が主流となっている。アセアンは、1992年に域内の自由貿易協定(AFTA)を締結、域外との関係では、日本、韓国、中国、インド、オーストラリア・ニュージーランドと自由貿易協定を締結している。
◆アセアンの域内統合・国際化戦略は、国と国の経済関係を深める他、各国の構造改革にも寄与するため、経済効率性を高め持続的経済成長を促す可能性が高い。今後のアセアンの量的・質的経済変化には大いに期待できる。
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