最近、人民元の上昇ペースが速くなっている。短期資本の流入が速くなることで、中国人民銀行(中央銀行)による外国為替資金(外貨準備増加に伴う自国通貨の放出額)も再び増加しており、金融政策に対するプレッシャーとなっている。これは2003年に人民元の上昇観測が出されて以来、長期にわたって中国経済を悩ませてきた問題である。この問題は現行の為替相場制度の欠陥や、人民元建て貿易関連の政策と香港の人民元オフショア市場の発展がもたらした後遺症を明るみに出すことになった。
この問題を根本的に解決するためには、人民元レートの構造改革をさらに推進することが必要である。そしてそれこそが人民元の国際化の健全な発展を促すこととなる。そこで我々は「人民元/米ドルの為替レートあるいは人民元の実効レートの12ヶ月累計の変動幅が上下7.5%範囲内で変動する限り、通貨当局は仲値管理や外国為替相場への介入措置を採らない」ことを推奨する。
※掲載レポートは中国語原本レポートにおけるサマリー部分の和訳です。
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