サマリー
◆中国全人代において憲法が改正され、国家主席の任期が撤廃されたことは、一般に習近平氏の長期政権への布石とみなされている。欧米には、経済発展が民主化への動きを後押しするという経験則を身をもって否定し続ける中国を戸惑いの目で見る向きも多い。しかし、所得水準と民主化を含む政治スタイルとにある程度の正の相関が観察されるのは、比較的所得水準の高い国家群においてであり、中国はその枠外にある。
◆従って、問題はこれからである。中国の所得水準の向上につれて、非民主的な政治スタイルを継続することのコストは高まることになろう。経済的な、いわゆるチャイナリスクについても、その深刻さの度合いを決めるのは投資率の高さや債務の大きさそのものではなく、政府主導で実験主義的にソフトランディングを志向する手法の社会的受容性にあると思われる。まだ、暫くの猶予はあろうが、今後の所得水準の上昇が現行の政治・政策スタイルと決定的な齟齬を来したとき、「チャイナリスク」の深刻化を懸念しなければならなくなる。
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