サマリー
◆2009年末の経済工作会議で、中国政府は初めて‘城市(城鎮)化’(都市化、城は都市を意味する)という用語を使用したが、2012年末の同会議で改めて城市化を新指導体制の重点経済政策のひとつと位置付けた。2020年までを見越した「城鎮化中長期規画(計画)」は2011年に作成が開始されており、今年中の公表が目指されている。そのねらいは言うまでもなく、①消費を拡大し、投資・外需主導の高成長から消費主導の持続的成長パターンへの転換を図ること、②農民・出稼ぎ農民工の‘市民化’を通じて所得格差の是正を図ることである。しかし城市化を成功裡に進めるためには、現状、戸籍制度と土地制度という二つの大きな障壁がある。中国当局もそうした問題意識を強めており、2013年5月、新指導体制になってからの国務院常務会議では、経済体制改革を進める上で13年に取り組むべき9つの重点項目のひとつとして、‘人的城市化’によって城市化の質を高めることがうたわれ、そのためには、戸籍改革や農民の合法的利益を保護すること等が必要とされている。
(*)本稿は、(財)外国為替貿易研究会発行「国際金融」2013年9月号に掲載されたリポートを修正したものである。本稿作成にあたっては、中華経済研究院(台湾)のTracy Yang研究員、特に中国の社会保障制度とその統計について、中国社会科学院経済研究所の朱玲副所長、金成武研究員から貴重なアドバイスを受けている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日