中国から見た対ロシア関係

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2013年06月03日

  • 金森 俊樹

サマリー

2012年12月、温首相(当時)がロシアを訪問し、様々な分野にわたる25以上の協力文書に調印、対ロ関係は「過去数十年間で最も良い状態」と述べた。また13年3月の両会(全人代と政治協商会議)終了後、習近平新国家主席は最初の外遊先としてロシア(次いでアフリカ諸国)を選び、訪ロ中、やはり「中ロ関係は列強の中で最良」と述べ、石油・天然ガスのロシアから中国への供給拡大、さらにはロシアの軍事装備品を中国が購入することについても合意したと伝えられている。訪ロ前中国で開催されたある中ロの研究者レベルの座談会では、中国側のロシア問題専門家より、習新主席が就任後全人代で行った演説で多用した「中国の夢」という文言を引用しつつ、中ロの戦略的協力関係を発展させることは「中国の夢の一部を実現させること」、またロシア側からは「訪ロは両国関係の継続性・安定性を示すもの」との発言があったと伝えられる。中ロ関係は確かに緊密化の方向にあるように見え、これまでのどちらかと言えば「政熱経冷」の状況が、「政熱経熱(あるいは不冷)」に変わっていく可能性も中国内で示唆されるに至っている。

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