ミャンマー情勢を注視する中国

~南に向かう人民元が鍵に~

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2012年12月03日

  • 金森 俊樹

サマリー

◆ミャンマーをめぐる国際情勢が急速に変化する中で、中国はとりわけ米国とインドの動向を注視している。総じて見れば、建前上は、ミャンマーと西側諸国や近隣インドとの関係改善が進むのは結構な事としつつ、ミャンマー・米国等諸国双方に対して一定のけん制をしていくというスタンスである。

◆中国は、貿易・投資、特に資源関連で、ミャンマーにおいて支配的な地位を占めてきたが、制裁がなくなった後の競争激化に対する率直な懸念と、環境変化を肯定的・前向きに捉えようとする意識が、二律背反的な状態で併存している。

◆ミャンマー、ラオス、ベトナムと接する国境地域では、人民元の使用が急速に拡大しており、中国当局もこれを後押ししている。こうした人民元の「南飛」は、中国にとって、ミャンマーとこれまで築いてきた密接な関係、さらにはアセアン地域全体に対する影響力を維持・拡大していくための切り札である。


(注)本稿は、外国為替貿易研究会発行「国際金融」2012年11月号に掲載された論文を基に、その後の情勢変化やデータを踏まえ、加筆修正したものである。

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