2024年11月25日
サマリー
◆日本の社債は長らく、さしたるコベナンツ(財務制限条項)も付されていない、いわば丸腰の状態での発行が続いてきた。しかし、社債発行体が償還日まで、つまり5年、10年という時間軸の間に何の変化もないと考えるのはもう時代遅れだ。
◆公募社債発行企業のLBO/MBO/EBOなどによる非公開化の事例は珍しくはなくなっており、東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を踏まえれば、今後ますます増加する可能性も指摘できる。
◆日本証券業協会では社債へのコベナンツの付与(基本的に付与すべきコベナンツ)の検討が行われ、2024年7月に報告書がまとめられた。シングルA格以上の社債には一律にはコベナンツの付与を求めないとのことだが、必要性なことは事例からみれば明らかだ。
◆社債権者は、社債にコベナンツの適切な付与を求めることで、自らの権利を事前に保全することを真剣に考える必要があろう。
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