2023年06月29日
サマリー
◆4-5月に発表された自社株取得枠(件数、金額)は、前年同期をやや下回るものの、この20年間では2番目に多い。企業の自社株買いへの姿勢は積極的である。昨年4-5月に取得枠(金額)の大きかった2社が今年はこれまで取得枠の設定を見送っているものの、業績が好調な商社や、例年はこの時期での取得枠設定が少なかった完成車メーカー等が増えている。
◆時価総額や流動性の高い企業で、取得枠を拡大しているケースが多い。TOPIX(東証株価指数)の規模区分で上位1,000社の「TOPIX1000」企業のうち、最上位30社を除いた3月期決算企業では、取得枠を拡大した企業が94社と、縮小した73社を上回っている。
◆3月に東京証券取引所が「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を発表したことで、PBR(Price Book-value Ratio:株価純資産倍率)が1倍を下回る企業での自社株買いの活用が期待されている。しかし、足元はその期待ほどは浸透していないようだ。むしろ、PBRが1倍を超える企業の方が、前年よりも取得枠(金額)を拡大している傾向にある。
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