2022年05月17日
サマリー
◆地方銀行(地銀、含む持株会社、以下同じ)の株主還元方針に、「安定的な配当の継続」から「配当性向」や配当と自社株買いを併せた「総還元性向」を掲げるケースが増えている。このような業績連動型の株主還元方針への変更は過去1年間で16件あり、足元では上場地銀の4割強が採用している。
◆方針が変更された背景には、「投資家との建設的な対話の促進」をコンセプトに掲げる東京証券取引所プライム市場に上場する地銀が多いことがあると推察される。また、最近では、英投資ファンドが一部の地銀に特別配当の実施を株主総会の議案に記載するよう求めたこと等もあり、投資家に対して地銀が株主還元方針の説明をわかりやすくしようとする傾向は全般的に続くものと思われる。
◆現状は、業績連動型の株主還元方針のケースでは、総還元性向や配当性向での目安として30%から50%を掲げる例が多い。今後は、既に業績連動型の方針を採用した地銀で、還元比率の引き上げ、成長投資や財務改善(内部留保)のバランス等の考え方について、開示の充足が期待される。
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