2022年03月07日
サマリー
◆足元の企業の資金繰り動向を確認すると、貸出残高の水準については依然として高い業種も見られるものの、2020年に急増した資金需要が一服したことが確認できる。企業財務については、宿泊業、飲食サービス業の有利子負債比率の改善が進んでおらず、債務返済は途上であることがうかがえる。
◆銀行部門では、地域銀行の不良債権残高が増加し続けているもののリーマン・ショック期と比較するとその水準は低く、貸出金に対する割合も低い。また、これまで相応に達成すべき水準(国際基準行は8%、国内基準行は4%)を上回ってきた自己資本比率にも大きな変化は見られない。貸出態度のスタンスについては、コロナ禍で打撃を受けている対面サービス業等に対しては厳しい状態にある。
◆資金繰り環境の先行きについては、新型コロナウイルスのオミクロン株による新規感染者数が減少していることより短期的には再びひっ迫する可能性は高くないと考えられるが、新たな変異株出現、ウクライナ情勢の悪化に伴う輸出入の停滞、原材料価格の高騰等のリスク要因に注意する必要がある。また、債務返済の進展についても、新型コロナウイルスの感染状況等に左右される状況が続くと思われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
「少額投資の在り方に関する勉強会」報告書
東証は上場会社、投資家向けの情報発信などを強化
2025年04月28日
-
IR体制の整備の義務化
パブリック・コメントの開始/7月を目途に実施予定
2025年04月23日
-
個人株主の議決権行使比率は高められるか
「飛び道具」は無いため、株主負担の地道な引き下げが重要
2025年03月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日