2022年01月14日
サマリー
◆日本銀行(日銀)から2021年7-9月期の資金循環統計(速報)が公表された。2021年7-9月期の金融市場では、自民党総裁選を控えた政策期待や新型コロナウイルスのワクチン接種の進展等を受けて株式などの資産価格が上昇し、各主体の金融資産残高が押し上げられた。
◆家計の金融資産残高は1,999.8兆円と過去最高を記録した。株式等の増加が全体の水準の増加に大きく寄与した。コロナ禍で外食・旅行等の消費の減少分が貯蓄に回っていること(強制貯蓄の発生)等を背景に、金融資産残高は6四半期連続で増加している。
◆金融資産別でみると株式の残高の増加が顕著だった。株式(上場株式に限定、出資金は含まず)の残高は、前期比+28.7兆円の772.6兆円となった。フローは▲1.7兆円であり、全体としては小幅に売り越しとなった。
◆次回公表される10-12月期の注目点は、緊急事態宣言の解除に伴う経済活動の再開や、新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)の発見等に起因する株価の下落が各主体の金融資産残高に及ぼす影響である。また、主要通貨に対するドルの上昇が各主体の投資行動に与える影響にも注目したい。
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