2022年01月13日
サマリー
世界的なデジタル化やフィンテックの進展という大きな潮流の中、近年、世界各国の中央銀行がCBDC(中央銀行デジタル通貨)の研究・開発を進めてきた。2020 年10 月、中米のバハマで「CBDC時代」の幕が開き、CBDC発行に向けた取り組みは益々加速する気配を見せている。
将来的にCBDCを導入する主要国・地域が相次ぐことになれば、その影響は中央銀行だけでなく、金融エコシステム全体にまで及ぶと考えられる。そこで本稿では、世界各国・地域におけるCBDCの発行及び研究・開発の現状を整理した上で、CBDCの分類と実際に想定される発行・流通形態を概観し、海外事例の仕様や機能などを比較・検討した。さらに、将来的な日本版CBDCの正式発行を見据え、日本の関係主体が想定すべき、CBDCのメリットやデメリット等の論点を考察した。
日本銀行は、現時点でCBDCを発行する計画はないとする。しかし、世界の潮流に取り残されないためには、各国・地域の動向をしっかりと分析し、現金志向の強さや災害大国といった日本特有の事情を考慮した上で、それらをCBDCの研究・開発に活かしていくという姿勢が今後一段と重要になってくるだろう。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
CGコードでの現預金保有の検証に対する上場会社の懸念
一見対立しているようだが、通底する投資家と会社側の意見
2025年11月07日
-
非上場株式の発行・流通を活性化する方策
「スタートアップ企業等への成長資金供給等に関する懇談会」が報告書を公表
2025年10月29日
-
親子上場などに関する開示議論の再開
不十分な開示状況に対して、開示項目の記載必須化に向けた議論も
2025年10月27日

