2021年07月06日
サマリー
◆日本銀行から全国企業短期経済観測調査(短観)の2021年6月調査結果が発表された。企業金融関連DI(全規模・全産業)に関して、資金繰り判断DIは前回調査から2%pt改善し11%ptであった。金融機関の貸出態度判断DIは前回調査から横ばいの18%ptであった。
◆今回の日銀短観では、全体として資金繰りが改善した一方で、宿泊・飲食サービス等の業種で資金繰りの厳しい状況が続いていることが確認された。今後の資金繰り動向(※1)については、製造業を中心に緩やかに改善すると思われる一方、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が残る一部の非製造業では非常に厳しい状況が続くと予想される。また、東京大学の仲田泰祐准教授らの研究チームは新型コロナウイルスの新規感染者数が7月から9月頃にかけて東京都と大阪府で再び増加するという予測を発表している。仮にこの予測が実現すると、次回の日銀短観(2021年9月調査)における宿泊・飲食サービスの資金繰り判断DIに下押し圧力がかかる可能性がある。
(※1)コロナ禍におけるこれまでの企業の資金繰り動向に関しては、遠山卓人(2021)「『K字』に分かれた資金需要の方向性」大和総研レポート(2021年6月4日)、坂口純也(2021)「コロナ禍での中小企業の資金繰り動向」大和総研レポート(2021年1月19日)、長内智・坂口純也(2020)「新型コロナ禍の企業の資金調達環境に見られる特徴と今後の展望」大和総研レポート(2020年9月10日)、長内智(2020)「日銀短観(2020年3月)による資金繰り点検」大和総研レポート(2020年4月6日)を参照。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
意見分かれるグロース市場の上場維持基準見直し案
2025年9月に制度要綱が公表予定
2025年07月28日
-
2025年上半期の配当方針等の変更と株価
減益予想が増えるも、累進配当やDOE採用による増配効果が下支え
2025年07月03日
-
CGコードの見直しで会社の現預金保有に焦点
現預金の必要以上の積み増しについて検証・説明責任の明確化を検討
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日