2021年03月10日
サマリー
◆新型コロナウイルス感染症の影響を受けて多くの企業が現金を積み増してきた。依然として厳しい事業環境に置かれている企業はともかく、業況の回復が見られる企業については将来的に増やした現金の使途や意義を問われる可能性がある。本稿では、現金の処分方法の一つである株主還元に着目してコロナ禍での動向をまとめた。
◆【配当】2020年度の企業の中間配当実績は微減にとどまっている。通期の予想配当については、予想利益の増減を問わず予想配当を前年度から据置とする企業が多く、配当の下方硬直性がうかがえる。もっとも、赤字企業については減配が多い。
◆【自社株買い】2020年の自社株買い額は約4.4兆円と2019年の約8.2兆円から落ち込んでいる。内訳を見ると、うち約1.6兆円は1社によって押し上げられており、実態としては多くの企業が自社株買いを抑制したといえる。業種別には銀行業の減少率が大きく、急増する資金需要に対応するべく、自己資本の確保を優先したとみられる。
◆先行きの株主還元を考えるにあたっては、①議決権行使助言会社の助言方針の緩和、②株高下での自社株買いの妥当性、③金利高と配当の競合関係、といった環境変化を踏まえることが重要と考えられる。
◆【BOX:減益増配企業の配当方針とは?】減益増配予想の企業の配当方針の特徴として継続的な増配や安定的な配当を明記していることが挙げられる。狙いとしては、安定株主を獲得することや配当利回りの確実性を担保することがあるとみられる。
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