2019年12月26日
サマリー
◆13億人の人口を擁するインドは多くの日本企業の関心が高い市場であるが、地場企業との競合も激しく、また国外から低い金利で資金を調達するには制約が多い。このため、市場の人口の割に、現地に進出する企業はタイやベトナム等のASEAN主要国より少ない。
◆しかし、2018年以降、インド国外からの借入に係る規制が徐々に改訂され、インドの資金調達環境は改善している。借入者の資格要件が緩和され、従来よりも短い期間での利用が可能となったことで、国外からの借入額は2019年に入って急増した。
◆国外からの借入のメリットは、資金調達コストの低さである。足下の金利水準を基にすると、米ドルでの借入金利はルピー建てよりも7%以上低い。2014年以降、通貨ルピーの米ドルに対する下落率は年間3%程度にとどまっており、結果的には米ドルでの資金調達コストの方が低かった。
◆在インド日本企業にとっては、運転資金目的の条件はまだ厳しいが、製造企業が設備投資目的で資金調達する場合にはメリットがあろう。5,000万米ドル相当までであれば、国外からの借入の最短借入期間が通常の3年よりも短く(1年)できる。為替の先物予約をしても、米ドルとルピーとの借入金利差が残る可能性は十分あろう。
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