2019年10月23日
サマリー
日本の資産運用業界(AM業界)では規模を追求した統合が進展しているが、今後10年で統合はどのような形態で、どこまで進むのであろうか。
既に米英ではAM業界のサプライチェーンのアンバンドル(分離)が進むと同時に、規模の拡大を目的とした統合だけではなく多種多様な運用会社の統合が見られる。アンバンドル化された付加価値の高い要素をより強化する再統合(リバンドル)も見受けられ、統合形態が多様化している。アンバンドルの主因は、フィデューシャリー・デューティー、MiFIDⅡ等の規制の導入・強化による運用会社のコスト負担増と考えられよう。加えて、デジタライゼーションの進展に伴い、高度な情報ツールが比較的安価で多くの顧客へと普及が本格化し、顧客との情報の非対称性がこれまで以上に縮小したこと、さらにETFなどの普及による運用商品のシンプル化が進んできたことで“プロ” の運用手法(特にアクティブ運用)の付加価値が低下し、手数料の低下圧力が高まっていることも理由として挙げられよう。
日本のAM業界では、手数料の低下圧力が米英ほど高まっておらず、アンバンドルの進展が相対的に遅い。しかし、今後は規制強化が本格化し、アンバンドルが急速に進展し、米英と同様な統合に向かう可能性が高まろう。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
意見分かれるグロース市場の上場維持基準見直し案
2025年9月に制度要綱が公表予定
2025年07月28日
-
2025年上半期の配当方針等の変更と株価
減益予想が増えるも、累進配当やDOE採用による増配効果が下支え
2025年07月03日
-
CGコードの見直しで会社の現預金保有に焦点
現預金の必要以上の積み増しについて検証・説明責任の明確化を検討
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日