2017年12月01日
サマリー
グローバル課題への国際協調、それを統治するグローバル・ガバナンスは、2016年のBrexitとトランプ大統領誕生により正念場にある。米国による主導国の地位放棄が現実化していることと、中国・ロシアが国際協調の新たな枠組みの対抗軸を形成しつつあることも、その理由として挙げられる。グローバル課題の解決は停滞を余儀なくされている。既に先進国と新興国・途上国間の経済的・政治的な国際協調のインバランス(不均衡)が拡大していることから、国際協調の“新たな均衡”を見いだす必要があろう。
国際協調の枠組みを統治するグローバル・ガバナンスとは、「国連等国際機関を中心とした合意された規則・規範・一連の手続きに基づく、具体的かつ協調的な、一国の統治だけでは解決できないようなグローバル問題解決の仕組みの統治形態」である。その“原点”には、多国間主義の基礎となる「自国の利益の最大化よりも国際秩序の中で自己の利益を追求する方が、結果的に、無秩序の中での無制限な競争よりも利益実現のコストが少なくてすむ」という考え方がある。本稿に挙げた10のグローバル課題が政治・経済の両面を持つようになり、その解決がより困難になる中で、各国が国際協調の“原点”に戻れるかが、今後のグローバル・ガバナンスの行方を左右しよう。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
意見分かれるグロース市場の上場維持基準見直し案
2025年9月に制度要綱が公表予定
2025年07月28日
-
2025年上半期の配当方針等の変更と株価
減益予想が増えるも、累進配当やDOE採用による増配効果が下支え
2025年07月03日
-
CGコードの見直しで会社の現預金保有に焦点
現預金の必要以上の積み増しについて検証・説明責任の明確化を検討
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日