期待される国際資金フローへの政策対応

「システム上重要な新興国」を含むセーフティネットの拡大が急務

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サマリー

◆2016年に入り、IMFやG20の場で国際資金フローに関する議論が行われている。背景には、2015年以降の国際資金フローの変動に対する懸念がある。金融危機以降、主要新興国に流入していた資金フローは、2015年に流出へと転換した。2016年3月以降、資金流出は落ち着きつつあるように思われるが、未だ資金流出への懸念は燻りつづけている。


◆現状、新興国は直面する資金流出に対応できる十分なバッファーを有しているものの、新興国と先進国の市場の連動性は時を追うごとに高まり、新興国に危機が発生した場合には、世界にスピルオーバーする可能性もある。


◆新興国に対する国際資金フローの変化を巡って、国際社会はただ手をこまぬいているわけではない。G20やIMFにおいて、資金フローの変動を直接的に抑制する資金フロー管理や、資金流出した際のバッファーとなるセーフティネットに関する議論が行われている。2015年に大規模な資金流出が発生した中国は、本年G20の議長国として、資金フローの変動への政策対応について積極的な役割を果たしていることから、9月に開催される杭州サミットに向けた議論の進展が期待されよう。

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