失われた20年~資本市場停滞の要因 [7]

政策立案における問題~環境変化に対応していない行動原理

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  • 中里 幸聖

サマリー

◆バブル崩壊後、日本経済は成長が滞り、「失われた20年」と評されることも多い。その中でも、資本市場の停滞は目を覆うばかりである。資本市場の活性化の必要性については、幾度となく問題意識が提起されたにもかかわらず、いまだ抜本的な解決策は見つけ出せていない。

◆今回、大和総研金融調査部では、資本市場における「失われた20年」を振り返り、停滞要因の整理を試みた。本質的な問題点を洗い出し、今後、実効性のある活性化策を議論する際の土台とすることが目的である。

◆第3章4節では、「失われた20年」の間における国の政策立案に問題はなかったのか、いくつかの観点から検討する。観点として、[1]政策立案の土台となる環境の認識が不足していて、正しい施策が打てなかったのではないか、[2]底流にある先送り体質を背景に、構造転換が遅れたのではないか、[3]世界で急進展するグローバル化への対応が遅れたのではないか、[4]金融資本市場の施策に関して、一律に銀行中心の考え方に偏ってはいなかったか、[5]行政全体として変化を好まない風潮があるのではないか、[6]施策を打つときに予算獲得の観点から“箱作り”が優先されてきたのではないか、などを挙げた。

◆現状からの脱却のためには、本質的な課題をしっかり把握した上で、対策を講じることが必要である。本節での検討からは、具体的な施策として、企業の業態転換や雇用問題、間接金融偏重のシステム改善、インフラ整備・運営の官民連携、等々を見直していくことが重要と考えられる。

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