2012年02月27日
サマリー
◆PIIGS向けの国際与信 ~主にユーロ圏主要国からの与信が減少~:2011年9月末時点のPIIGS向けの国際与信は、ソブリン債の価格下落等に対する警戒感から、フランスとドイツを中心として全報告国が2011年6月末比で減少させた。その結果、PIIGS向けの与信残高は全体でピーク時の約半分となった。
◆世界の銀行の国際与信 ~新興国向け与信を中心に減速~:世界の銀行の国際与信は、前年比の伸び率が縮小した。特に新興国向けでは、ソブリン債や民間非銀行向け、欧州や中南米向けで与信が減少した。日本から海外への与信は前年比の伸びが鈍化し、海外から日本への与信も前年比で減少したが、これらの日本経済への直接的な影響は限定的だろう。
◆残存期間別の新興国向け国際与信 ~短期与信が占める割合のさらなる上昇等に注意~:リーマン・ショック以降、新興国向けの国際与信では、短期与信と中長期与信の動向に乖離が生じている。直近では短期与信が、前年比伸び率で中長期与信を上回っているため、短期与信への依存度が高まっている。短期与信への過度な依存は、新興国の安定的な経済成長に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要である。
◆ECBによる無制限資金供給やギリシャ向けの第2次金融支援の実施決定から、足元では国際与信の縮小は落ち着くと考えられる。ただし、欧州債務問題の本質である債務危機国の財政再建が着実に実行されなければ、国際与信の中長期的な安定を見込むことは難しいだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
意見分かれるグロース市場の上場維持基準見直し案
2025年9月に制度要綱が公表予定
2025年07月28日
-
2025年上半期の配当方針等の変更と株価
減益予想が増えるも、累進配当やDOE採用による増配効果が下支え
2025年07月03日
-
CGコードの見直しで会社の現預金保有に焦点
現預金の必要以上の積み増しについて検証・説明責任の明確化を検討
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日