PFI市場の動向と改正PFI法の可能性

~日本のPFI市場で期待される変化と東日本大震災の復興への活用~『大和総研調査季報』 2011年秋季号(vol.4)掲載

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  • 藤井 佑二

サマリー

PFI(Private Finance Initiative:民間資金等活用事業)が、大きな注目を浴びている。東日本大震災では、東北地方を中心に道路などインフラが甚大な被害に遭ったが、インフラ整備の主体である国や地方公共団体といった公的主体は、膨大な債務を抱え、多額のインフラ整備を全て賄えるほどの資金的余裕がない。その中、東日本大震災と時を同じくして、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の改正法」(通称改正PFI法)が震災後に成立したことで、PFIを用いたインフラ整備を模索する動きが活発化している。改正PFI法では、公共施設等運営権の導入や民間事業者による提案制度などが認められたことで、改正前に比べて、民間事業者がノウハウを発揮しやすく、また民間事業者が資金調達を行いやすくなった。

PFIは、東日本大震災の被災地におけるインフラ整備では、復興段階での活用が考えられる。中でも、利用料金を徴収する独立採算型事業では、民間ノウハウがより活用しやすい、公共施設等運営権を使ったPFI事業の実施が望ましい。ただ、被災地では人口規模が小さく、なおかつ人口が減少している地域が多いことを考えれば、広域化や異なるインフラ事業を一括で手掛けるなどの工夫が必要になるだろう。

大和総研調査季報 2024年春季号Vol.54

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