2012年12月19日
サマリー
◆第10回目は日本銀行を解説する。
◆日本銀行が取り組んでいる目下の課題は長引くデフレからの脱却であり、金融緩和策を打ち出すことで対応しようとしている。金融緩和を実施することで、企業や家計が金融市場や金融機関から低コストの資金を調達できるようにし(金融緩和の波及経路の第1段階)、投資や支出を促して経済・物価の好転につなげたい(同第2段階)考えだが、デフレ脱却は実現していない。
◆このため、直近では2012年10月、[1]「資産買入等の基金」の規模を80兆円程度から91兆円程度に11兆円程度増額、[2]「貸出増加を支援するための資金供給」という新たな枠組みの創設を柱とする年内4回目(2012年2月、4月、9月に続く)の追加緩和を実施した。日本経済がデフレから脱却し物価安定のもとでの持続的な成長経路に復するには、政府など幅広い経済主体による成長戦略強化の努力も不可欠だろう。
(注)本稿は、週刊金融財政事情に執筆中の連載シリーズを加筆修正したものである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
いがいと知らない政府系金融機関 第1回 日本政策投資銀行(DBJ)
~大震災など危機対応で存在感を示す~
2012年10月03日
-
いがいと知らない政府系金融機関 第2回 国際協力銀行(JBIC)
~輸出入金融から対外投資へ、役割を変えるサムライバンク~
2012年10月10日
-
いがいと知らない政府系金融機関 第3回 沖縄振興開発金融公庫
~沖縄21世紀ビジョンの実現を沖縄特有の経済・金融環境に即した機能でバックアップ~
2012年10月19日
-
いがいと知らない政府系金融機関 第4回 住宅金融支援機構
~日本最大の債券発行体~
2012年10月26日
-
いがいと知らない政府系金融機関 第5回 地方公共団体金融機構
~地公体への貸付、その資金調達を担う~
2012年11月14日
-
いがいと知らない政府系金融機関 第6回 国際協力機構(JICA)
~ミャンマーへの政府開発援助(ODA)も再開に~
2012年11月19日
-
いがいと知らない政府系金融機関 第7回 福祉医療機構(WAM)
~貸付事業を中心に8事業1業務を提供~
2012年11月26日
-
いがいと知らない政府系金融機関 第8回 商工組合中央金庫
~中小企業金融でセーフティネット機能を発揮~
2012年12月06日
-
いがいと知らない政府系金融機関 第9回 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
~世界最大の運用規模をもつ公的年金~
2012年12月14日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
「トランプ関税2.0」による日本経済への影響試算
中間財の出荷減や米国等の景気悪化で日本の実質GDPは最大▲1.4%
2024年12月18日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
-
長寿化で増える認知症者の金融資産残高の将来推計
金融犯罪を含む金融面の課題やリスクへの対応も重要
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
「トランプ関税2.0」による日本経済への影響試算
中間財の出荷減や米国等の景気悪化で日本の実質GDPは最大▲1.4%
2024年12月18日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
長寿化で増える認知症者の金融資産残高の将来推計
金融犯罪を含む金融面の課題やリスクへの対応も重要
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日