東証が求めるIR体制の整備に必要な視点

財務情報とサステナビリティ情報を統合的に伝える体制の整備を

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サマリー

◆全米IR協会(NIRI:National Investor Relations Institute)によれば、IR(Investor Relations)とは、企業と金融関係者およびその他の利害関係者との最も効果的な双方向のコミュニケーションを可能にするため、財務、コミュニケーション、マーケティング、証券関連法遵守を組み合わせて行う戦略的マネジメントに関する責任である。そして、最終的には企業が発行する証券が公正な評価を得ることに貢献するものと位置付けている。

◆IRの具体的な活動として、各種情報開示や投資家との対話などが挙げられる。情報開示に関しては決算短信や有価証券報告書の作成・公表など法令諸規則で義務付けられているものもあるが、多くは企業の任意の活動となる。

◆東京証券取引所は2023年にプライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を求めてきたが、この取り組みを進める中で、投資家と上場企業のギャップも明らかになってきた。そうしたギャップを埋めるため、同取引所は上場会社に対してIR体制の整備を求める方針である。

◆近年ではIRを通じて投資家に伝える情報が、財務情報から非財務情報(サステナビリティ情報を含む)に広がっている。財務情報と非財務情報を統合的に伝えることができるIR体制の整備が求められよう。

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