2023年01月06日
サマリー
◆2022年10月、PSF(Platform on Sustainable Finance)は、タクソノミーの基準の一つであるミニマムセーフガードに関する報告書を公表した。
◆ミニマムセーフガードとは、主に人権や汚職、税制等に関する要件である。事業の実施主体である企業がミニマムセーフガードに適合していないとみなされれば、著しく環境問題の改善に寄与する事業を行っても、サステナブル(グリーン)な経済活動とは認められない。
◆現在のタクソノミー規則では、ミニマムセーフガードの基準として国際的に遵守すべき条約やガイドライン等が示されている。他方、EU域内でミニマムセーフガードに当たる法規制が敷かれている場合は、その法規制がミニマムセーフガードの代替的あるいは補完的な役割を果たすようだ。報告書では例として、SFDR(Sustainable Finance Disclosure Regulation)、CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)、CSDDD(Corporate Sustainability Due Diligence Directive)を挙げており、特にCSRDの適用前後でミニマムセーフガードの基準を変更することを提案している。
◆報告書で代替性が高いとされているCSRDやCSDDDの具体的な内容は、現時点では一部定まっておらず、今後の関連動向に注目したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
EUタクソノミー:気候変動緩和・適応の現況
ガス・原子力の委任規則案が議会で否決される可能性あり
2022年06月30日
-
EUタクソノミー:残り4つの環境目的
公表済みDNSHの再検討、分類拡張の導入が必要
2022年12月26日
同じカテゴリの最新レポート
-
ISSBがIFRS S2の改正案を公表
温室効果ガス排出量の測定・開示に関する要件を一部緩和
2025年05月16日
-
年金基金のESG投資を実質禁止へ:米労働省
バイデン政権時代に制定されたESG投資促進の規則は廃止へ
2025年05月14日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日