EUタクソノミー:ミニマムセーフガード

CSRD等の適用前後で基準が異なる点に留意

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  • 田中 大介

サマリー

◆2022年10月、PSF(Platform on Sustainable Finance)は、タクソノミーの基準の一つであるミニマムセーフガードに関する報告書を公表した。

◆ミニマムセーフガードとは、主に人権や汚職、税制等に関する要件である。事業の実施主体である企業がミニマムセーフガードに適合していないとみなされれば、著しく環境問題の改善に寄与する事業を行っても、サステナブル(グリーン)な経済活動とは認められない。

◆現在のタクソノミー規則では、ミニマムセーフガードの基準として国際的に遵守すべき条約やガイドライン等が示されている。他方、EU域内でミニマムセーフガードに当たる法規制が敷かれている場合は、その法規制がミニマムセーフガードの代替的あるいは補完的な役割を果たすようだ。報告書では例として、SFDR(Sustainable Finance Disclosure Regulation)、CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)、CSDDD(Corporate Sustainability Due Diligence Directive)を挙げており、特にCSRDの適用前後でミニマムセーフガードの基準を変更することを提案している。

◆報告書で代替性が高いとされているCSRDやCSDDDの具体的な内容は、現時点では一部定まっておらず、今後の関連動向に注目したい。

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