2020年01月10日
サマリー
2020年は日本版スチュワードシップ・コードの改訂が予定されており、機関投資家のスチュワードシップ活動においてESG課題の重要性が増す。
本稿では、企業のESG情報の中でも特に定量化しづらい社会課題に対して、機関投資家がどのような関心を持ち、企業の取り組みや開示に対して何を求めているのか、調査を行った。スチュワードシップ・コードの受け入れを表明し、活動報告の開示を行う機関投資家の約7割がESGに言及しており、総じて「人的資本」に対する関心が高い。投資家の最たる関心事項は企業価値の向上であり、ビジネスモデルに盛り込まれるESGの取り組みは、企業価値の向上に結びつくプロセスが分かる情報を求めている。
ESG要素のうちS(社会)に関する企業の開示情報は不足している。企業には、投資家が対話で取り上げるテーマや切り口の材料、きっかけとして活用されるような開示の工夫が求められる。投資家のニーズを踏まえた開示を企業が積極的に行うことで、情報が徐々に蓄積され、企業分析においてS(社会)の要素を判断するためのスキームや指標の確立、さらには企業と投資家の対話促進につながることが期待される。
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