2020年01月09日
サマリー
◆ESG投資が世界的に拡大する中、対象となるアセットクラスは従来の株式や債券だけでなく、不動産にまで広がり始めている。背景には、不動産投資は省エネや防災、地域活性化など様々な社会課題の解決に貢献し得ること、社会課題の解決を通じた不動産価値の向上により将来的な投資収益性の向上が期待され得ることがある。
◆国連環境計画金融イニシアチブの不動産ワーキンググループは、不動産投資の意思決定の際にインパクト(社会的影響)の分析を行う必要性を提唱しており、今後これに基づく投資事例が増えてくるだろう。また、投資の意思決定の際に、不動産企業のESGに対する取り組みの国際的な評価基準GRESBを参考にする投資家が増え始めている。
◆日本では国土交通省が2019年7月、「ESG不動産投資のあり方検討会」の中間とりまとめを公表し、ESG不動産投資を促進する上での方向性を示した。現状、J-REITなどは光熱費削減メリット等からESG不動産投資に積極的だが、機関投資家の関心度はまだ低い。しかし、GPIFはESG不動産投資を開始しており、運用機関等への広がりが期待される。
◆今後、日本においてもESG不動産投資が主流化していくものと期待される。そのためには、①認証制度のさらなる普及に加えて、②E(環境)だけでなく地域活性化や高齢化への対応などS(社会)の取り組み強化、③投資の効果を明確にするポジティブ・インパクト投資の普及が課題である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
機械学習による有価証券報告書(2025年3月期)の人的資本開示の可視化
経営戦略と人事戦略の連動や、指標及び目標の設定に課題
2025年08月01日
-
サステナビリティWGの中間論点整理の公表
2027年3月期から順に有価証券報告書でのサステナビリティ開示拡充
2025年07月28日
-
カーボンクレジット市場の新たな規律と不確実性
VCMI登場後の市場と、企業に求められる戦略の頑健性
2025年07月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日